はじめに

この度、the Letterで野球コラムを書くことになりました。ハタチの駆け出しの時のように不安に打ち震えておりますが、まずはオープンのご挨拶をさせていただきます。
村瀬秀信 2026.03.01
誰でも



こんにちは。ライターの村瀬秀信です。
はじめましての方も毎度おなじみの方もようこそお越しいただきました。

2017年に文春野球コラムペナントレースを立ち上げた勢いで、コミッショナーという権力の傀儡を暗喩したような役職に就任しました。以来、人の野球コラムの手伝いばかりで、自分で野球コラムを定期的に書くということからすっかり遠ざかってしまいました。

野球選手は3日休むと勘を失くすと申しますが、ライターもまた同じ。定期的にテーマを探して書かないとコラム連載の筋肉はどんどん衰えていくように思います。

2010年からNumberWebで「野次馬ライトスタンド」を連載していた頃は、面白いアイデアが次から次にわいてきて、もつ鍋屋さんを引っ張り出したり、美術家・なかざわたかひろ氏に密着したり、ベイスターズへの愛憎をぶちまけたりと、今の出版界隈ではなかなかやりづらくなってしまった珍奇なことを取り上げつつ、自分自身も書いていてものすごく充実していたことを覚えています。

文春野球でもたまに書いてはいたんですけどね。しかし、諸般の事情から覆面をかぶった謎のマスクコラムニスト、ベイスターズおじさんとして。そうです、私がベイスターズおじさんです。なんの驚きもないですが。

肩書はゆっくり人を殺す

そんな文春野球も2023年に一旦終わり、コミッショナーは先人たちに倣って天下り先の文春野球学校で校長という名誉職に就きました。お手当は授業のあとのごはん代です。

ここでは「野球コラムが書きたいんです!」「コラムニストになるにはどうすればいいんですか?」と目をキラキラと輝かせる生徒さんたちに囲まれ、すてきな日々を過ごさせていただきました。しかし、いつしか生徒さんらの笑顔の奥から「校長って昔の人だよね」「あんたの話はいいから長谷川晶一さん呼んできてくださいよ」という声が聞こえてくるようになりました。病気です。

自分はこの学校では、ハナ肇の銅像のようなコケティッシュでいじっても怒られない友愛の象徴。日々ペンキと冷や水と片栗粉を浴びながら、ぼんやりと考えていたことは「俺のメインは書籍とかNumberとかの雑誌だし」という完全にいじけたおっさんの考えに陥っていました。

肩書なんてものは恐ろしいです。最初は冗談で言ってた、コミッショナーだ、校長だ、コラムプロデューサーだ、ベイスターズおじさんだとおだてられてるんだか笑われているんだかわからない肩書きでも、いつの間にか「何かやってる」ような気になってしまいます。

僕は野球コラムという分野では、完全に死んでいました。

ここ数年、自分しか書けない野球コラムを書いたのなんて、ベイスターズが日本シリーズに勝った時にNumberの優勝号に書いたエッセイぐらいじゃないでしょうか。

AIに看取られた日

そんな恐怖心がどこかにあったのでしょうね。
昨年の夏、AIに過去の自分の野球コラムを全部読み込ませて、聞きました。
「昔の勢いがあった文章が最近は書けなくなっているのだけど、今の文章と比べてどう思う?」
AIは3秒でこう答えました。
「まわりの目を気にするようになりましたね。大人になりました」

最近のAIの進歩はすごいですね。誰も言ってくれない厳しい意見も忖度なく言ってくれます。一方で、書いた原稿を見直してみれば、自分の考えが出ないインタビューか、周りに忖度した記事ばかり。

このままじゃ物書きとして完全に死ぬ。確実にAIに負ける。
依頼を受けて書くのではなく、言われなくても面白い野球コラムを書いてやろうと燃えていた、あの頃のスタンスをもう一度取り戻さなければいけない。そう思い、自分で、自分が書きたい野球コラムを発表できる場所を持つことにしました。

読んだら燃やしてください

タイトル「野次馬ライトスタンドからの手紙」は、そんな思いを込めています。あの頃の村瀬秀信が読者に宛てた手紙。俺に宛てた手紙。手紙だから限られた人にしか読まれないし、読んだら燃やしてくださいねの手紙。

はじめはnoteでやろうと思いましたが、「the Letter」に移籍したのは編集長の濱本さんにお誘いいただいたこと。より自分のスタイルにあった場所であること。とある信頼している編集者に「雑誌、もう終わるからやった方がいいよ」と言われたこと。あとは敬愛する長谷川晶一さんと田尻耕太郎さんが、すでに先達としてうまいこといっていることも、正直なスケベ心です。

この半年の間、野球コラムを書くための再スタートを切るための準備を進めておりました。
どんなネタを書けばいいのか。どうやって取材するのがいいのか。書くための取材費、収入はそれで得ることができるのか。そして、〆切は守れるのか。家族は路頭に迷うのか。

動き出してみなければわからないことの方が多いですが、今日3月1日このthe Letterをはじめたいと思います。どうか皆様、末永くよろしくお願い申し上げます。

しばらくの間は無料のお試し期間となりますが、
すでに有料プランにご登録いただいている神様が何人かいらっしゃるようです。
ありがとう。あなたの思いは忘れません。

配信は毎週月曜日の予定。できんのか!? やるんだよ!


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